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「むっ、無理です。あ、あれはもうできません……」
「もうできない? どうして?」
部長に跨った状態でキスをされて服を脱がされてこの間と同じように触られでもしたら、今日はそれ以上に大変なことになってしまいそうだ。それでなくてももう、下着の中は確認しなくてもわかる状態だというのに。
それに今の私はミニのフレアスカートだ。
こんな短いスカートで跨りでもしたら、すぐに触られてバレてしまう。
あんな恥ずかしい姿を見られてしまうくらいなら、まだベッドに行く方がマシだ。ベッドなら脚は閉じることができるし、閉じることができれば部長に触れられることは免れることも可能だ。それに恥ずかしいときはうつ伏せになれば、胸だって隠すことができる。
「茉里、どうしてできないんだ?」
「や、やっぱり……、ベッドでも、いい?」
「んっ? ベッド? ベッドがいいのか?」
部長の顔を見つめたまま、無言で頷く。
わかった──と頷いた部長は私の手を握ると、ソファーから立ち上がり、寝室へと連れていった。
寝室は私の部屋と同じくらいの広さで、真ん中にセミダブルのベッドが置かれ、サイドボードとお洒落な間接照明、観葉植物といった落ち着いたトーンでシックに纏められていた。
初めて見る男性の寝室に、緊張してドキドキが止まらない。そしてこれからこのベッドの上で行われるであろうことを想像してしまい、直視できずに俯きかけていると、座って──とベッドの上に座らされた。
その横に部長が座り、私のことを優しく抱きしめる。
この前嗅いだ香水とは違う、石鹸のような匂いが身体からふわっと香ってきた。
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