悠樹side #1

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地下鉄の入り口まで来て階段を下りていると、後ろにいる白石が慎重に階段を下りていた。振り返って調子が悪いのかと尋ねると、ちょっと酔っぱらったみたいで足に力が入らなくて、と俺に大丈夫だとジェスチャーするように両手を出してきた。 「ほら、手を貸せ」 俺は無意識に前に出されたその手を掴んでいた。 「危なっかしいな。落ちるなよ。っていうかタクシーで帰るか? 家はどこだ?」 「ほ、ほんとに大丈夫です。上野なんで電車の方が早いんです」 えっ? 上野? こいつ、上野に住んでいたのか。 俺と一緒じゃないか。 どういうわけか、もう少しこいつと一緒にいれると思うと嬉しく感じる俺がいた。 決して好きと言う感情があるわけではないのに──。 きっと白石があんなこというからだ。 あの発言から俺はどうもおかしい。 俺も上野に住んでいるというと、白石はびっくりしたように目を丸くして俺を見つめてきた。 可愛い顔だよな──。 不覚にもそんなことを感じてしまい不自然に目を逸らしてしまう。 ほんとにどうしたんだ。 俺は部下を目の前に何を意識してるんだ。
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