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「さっきまで楽しそうに話をしていたのに急に静かになったってことは、やっぱり俺たち邪魔だったかな?」
少し心配そうな表情をする水島部長に、葉子が「いっ、いえ、普通に話をしていただけなので。邪魔だなんて全然思ってません。部長とこうして一緒にランチできるなんて嬉しいです」と小刻みに顔を横に振りながら答える。
そんな風に言ってもらえるとお世辞でも嬉しいな、と言いながら出汁のしみ込んだカツ丼のご飯を口に運んだところで、水島部長が葉子と若菜ちゃんに笑顔を向けた。
「やっぱりここの社食のカツ丼は旨いよな。出汁かな? そう思わない?」
眩しいくらいの水島部長のイケメンスマイルに魅了された2人は「そうですよね。ここの社食のカツ丼ってほんと美味しいですよね」と極上の笑顔で頷いている。
2人とも態度変わり過ぎじゃん。
さっきまでの常務の妄想劇場を繰り広げていた姿はどこへ行ったのか、おしとやかな女性に様変わりだ。
「いや、いくら美味しいとはいえ、アジフライには負けるでしょ。なあ、そう思うよな?」
葉子たちの様子にクスッと笑みを浮かべてお味噌汁を啜っていたら、突然隣に座っていた松永部長が反論するように水島部長に向けて答えたあと、今度は私に同意を求めるように視線を向けてきた。
ええっ?
わっ、私?
松永部長と視線がぶつかり、何も心の準備ができていなかった私は慌ててしまった。
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