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とっても上機嫌な葉子と若菜ちゃんの会話を聞きながら、私は小さく溜息を吐いた。
私は別の意味でめちゃくちゃ緊張したよ。
あんな不意打ちで松永部長と顔を合わせることになるなんて思ってなかったもん。
なあ、そう思うよな、と松永部長に向けられた視線。
一瞬、土曜日に一緒に食事をした時の松永部長が頭をよぎり、部長が上司ではなく男性として見えてしまった。
なんなんだろう。この変な感じ。
プライベートの時の部長を知ったせいだからだろうか。
今まではこんな風にドキドキすることなんて全くなかったのに。
視線を向けられた時の表情を思い出しながら自分なりに分析してみる。
あの表情だと部長は怒ってるとかそんな感じじゃなかったよね。普通に話かけてくれたし、避けられてる感じもなかったし、いつも通りの部長だった。
ということは……。
あの発言は聞いてなかったこととして接してくれてる……のかな?
もしかして、お酒に酔っぱらって覚えてないとか?
いや、それはさすがにないか……。
部長にはしたない女性だと思われたくないせいか、どうも自分の都合のいいように考えてしまう。
あれこれと考えていたら「どうしたの茉里? 眉間に皺なんか寄せちゃって」と、葉子が私の顔を覗きこんできた。
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