予定外の週末

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さっきのって何の音だったんだろう。 大丈夫かな? 部長からの反応がないので気になって仕方がない。 ただ何か物が落ちただけならそれでいい。 でもさっき聞こえてきた鈍い音は物が落ちるような音ではなかった。 部長が倒れたのだろうか。 勝手に部屋の中に入っては怒られるかもしれないけど、何かあっては一大事だ。 このまま何もせず自分の部屋に戻ったところで、またずっと気になって仕方がない。 きちんと寝ている姿を確認することができれば安心できる。 どうせ先週のことで謝らないといけないんだもん。 勝手に部屋に入ったことも一緒に謝って、部屋の中を見たことは絶対に誰にも言いませんって約束すればいいよね? 私はパンプスを脱ぐと、失礼しますと小さく口にして部屋の中へ入っていった。 中扉をゆっくりと開ける。 すると、ドアの向こうにはモデルルームのように整然としたリビングルームが広がっていた。 うわっ、ひろっ。 うちと全然違う……。 同じマンションなのにこんなにも違うのだろうか。 リビングだけで私の部屋の2倍以上はある。 大きな画面のテレビに2人掛けのダイニングテーブル、そしてふわふわのベージュのラグの上には寝転んでも余る大きさの茶色のソファーとお洒落なローテーブルが置いてある。
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