予定外の週末

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エレベーターで3階に下りて自分の部屋に戻ると、ローテーブルの上に乱雑に置かれた買い物袋が目に入ってきた。 「あっ、忘れてた。買い物してきたもの全部置きっぱなしだ!」 急いで野菜やお肉、サラダなどを冷蔵庫に入れて、冷凍庫に電子レンジでチンするだけのパスタを入れる。 「パスタ少し溶けちゃったかな。きっと大丈夫だよね? えっと買い物したものは全部冷蔵庫に入れたでしょ。あとは……、そうだ、タオル! タオルで少しおでこを冷やしたほうがいいよね」 チェストからハンドタオルを出して紙袋の中に入れていく。そしてウォークインクローゼットの中の棚から毛布を取り出した。 「毛布だけだと寒いかな? でも掛け布団って言ったら私が使ってる掛け布団しかないもんね。私が使ってるのなんて嫌だろうし……。どうしよっかな。一応持って行くだけ持って行く? あれだけ熱が出てるんだもん、寒かったらいけないよね」 このまま持って行くのも気が引けて、掛け布団のカバーを新しいものに取り替える。部屋に戻ってきてからバタバタと動いているせいか、10月ももうすぐ後半だというのに背中にじっとりと汗をかいている。 「あー、暑っ。とりあえず掛け布団のカバーも替えたしこれで大丈夫だよね。あっ、そうだ。体温計も一応持って行こう!」 私は片手でパタパタと顔を仰ぎながら、ハンドタオルの入った紙袋の中に体温計とスマホを入れて腕にかけ、掛け布団と毛布を持って再び部長の部屋へ向かった。
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