予定外の週末

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「白石、謝らなくていいから顔をあげて」 頭上から部長の声が聞こえてきて恐る恐るゆっくりと顔をあげると、部長が柔らかい表情で微笑んでいた。 その表情を見て、部長は怒ってないのだろうかとじっと見つめてしまう。 「いろいろ悪かったな。白石のおかげで酷くならずに済んだみたいだ。冷却枕もこのタオルもありがとな。冷やしてくれたんだろ。それに……、おそらくこの布団と毛布もだよな」 怒っていないことに少しほっとしながら小さく頷く。 「は、はい……。あっ、ちゃんと布団のカバーは取り替えてきましたので一応綺麗です」 「そんなことは気にしちゃいないよ。布団まで持って来てもらってほんとにありがとな。逆に俺が使ったから気持ち悪いだろ。汗かいたし、新しい布団買って返そうか」 「いっ、いりません。私が勝手にしたことですし、そんなことは気にしないでください……。そっ、それより部長、熱は? 病院行かれた方がいいんじゃないですか? 昨日、すごい熱だったし」 「昨日は本当に辛かったというか身体が言うこと聞かなかったからな。でもだいぶ良くなったみたいだ。まだ少し頭は痛いが、この感じだと熱は下がったんじゃないかな」 部長が自分のおでこと頬に手を当てながら、体温を確認している。 「あっ、そうだ、体温計!」 私はハンドタオルを入れていた紙袋から体温計を取り出した。 「部長、熱を測ってみてください。まだ高いようでしたら病院に行かれた方がいいと思います」 電源スイッチを押して体温計を渡すと、部長は素直に受け取り、熱を測り始めた。ピピッと音がして部長が体温計を取り出して体温を確認したあと、私に体温を見せる。そこには37.6度と表示されていた。 「よかった。昨日よりは熱は下がってきてますね。測ってないから正確な数字は分からないけれど、昨日はめちゃくちゃ熱かったですもん。でもまだ37.6度ってことは……、今は一時的に下がっているだけでまた上がるかもしれませんね」 「そうだな。また上がるかもしれないが今日明日寝てたら治るんじゃないかな」 部長の口ぶりからはどうやら病院に行く気はなさそうだ。
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