悠樹side #2

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悠樹side #2

暑い──。 珍しく大量の寝汗とともに目を覚ましたのは、外が明るくなり始めた頃だった。仕事の疲れとは違う身体の怠さを感じながら掛け布団を少し剥がすと、おでこの上から何かが横に滑り落ちてきた。何が落ちたのかと手を動かして掴むと、それは濡れたタオルだった。 どうして濡れたタオルがおでこの上にあるんだ? 不思議に思いながらも、そう言えば昨日体調が悪かったなと、俺はそこで初めて昨日のことを思い出した。 確か飛行機の中で急に寒気がしてきて、そのあと身体が怠くなって──。 この身体が怠いのは熱のせいだったのかと納得したものの、なぜタオルがおでこの上にあるのか。 しかもベッドの上ではなく、ソファーの上でもなく、その下のラグの上で寝ている。 ラグの上で寝てしまうなんて、相当身体が怠かったんだろう。覚えてはいないが身体が熱すぎて自分でタオルを濡らしたんだろうな。 そう理解して俺は小さく息を吐いた。 このままもうひと眠りするかとも考えたが、熱のせいでかなり寝汗をかいたせいか、とにかく暑くて身体が汗でべとついている。シャワーでも浴びて着替えるかと、俺はゆっくりと上半身を起こした。 少し頭はクラッとするが、熱はそこまでなさそうだ──と思った時、俺の隣に知らない人間が寝ていることに気づいた。 はっ? どっ、どういうことだ? その人間から急いで身体を遠ざけながら、ぼんやりとしていた視界が一気にクリアになる。 驚きすぎて心臓がドックンと大きく跳ねあがった。 おっ、女か? どうして女が俺の部屋に? 俺が連れて帰ったのか? 数秒の間にいろんなことが頭をよぎるものの、何も記憶がない。 おい、俺、とにかく冷静になれ。 いったいどういうことなんだ?
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