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表と裏
いつの日か遠い昔、空は太陽を失った。
無数の星と不気味な程巨大な月が君臨する空に、闇に覆われた世界は絶望する。
“永遠なる闇”と、誰かがそう呼んだのも昔の話。
希望を諦めなかった1人の男が現れたのも、運命だったのかもしれない。
絶望に沈む人々を奮起させ、世界でたった1つの“光の街”を作り上げた。
闇の空を打ち払う永遠なる光を生んだ希望の街、ステラと名がついたのはつい最近の事。
「こうしてお前が光を使った実験を行えるのも街の創設者であり、永久資源を発見したベンジャミンのお陰という訳だ」
機械に覆われた不思議な部屋に、男女が1人ずつ。
光溢れる街中とは対照的に、じっとりとした重い空気が部屋を包み込んでいる。
眼鏡の女性は鼻を鳴らして誇らしげに語る中、バンダナの上にゴーグルをつけた少年は大あくびを浮かべ暇そうに話を聞いていた。
それに気付いた女性は鉄拳制裁と言わんばかりのゲンコツを、少年の頭にお見舞いする。
鈍い音が部屋に響いた数秒後、今度は悶絶の絶叫が部屋中に轟いた。
「いってぇぇぇ!!何すんだよハイド!!」
「何すんだよじゃないわよ、ジキル。師匠の講義を退屈そうに聞いてた罰よ」
腰まである長い髪を纏わせたハイドが鬼の形相で睨んでいるのを雰囲気で察し、それ以上騒ごうとはしなかった。
ズキズキと痛む頭をさすっていると、更なる文句の言葉が降り注ぐ。
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