表と裏

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「何でコイツらが拘束されなきゃダメなんだよ!?ちゃんと説明しろよ!?」 不意に蘇る昨日の記憶と、目の前で起きてる状況が重なる。 「駄目だ!!クツナさん!!」 止めようと必死に手を伸ばすジキルの願いも虚しく、コハクがクツナの顔面に掴みかかる。 急に顔面を掴まれ驚きからか動きが止まり、それを逃さまいと言わんばかりにコハクは空いた手の指を伸ばし、次々にクツナの頭に突き刺す。 ドスッと鈍い音が響いたかと思えば、昨日見たのと全く同じ光景がテレビの再放送かの如く目の前で繰り広げられる。 力を失いダラリと垂れ下がる手、ゴミを捨てるようにクツナの体を投げ捨てるコハク。 「【処理】完了」 ヘルメットの奥から、大きく息を漏らす音が聞こえる。 血で汚れた指をハンカチで拭き取る様は、まるで化け物。 「何だよ、これ……こんなのって……」 「この街のの為に、君達を拘束させてもらう」 ぐちゃぐちゃになる感情で膝から崩れそうになったのを、ギリギリの所で引き戻したのはハイドだった。 腕を引っ張られ、強引にその場から逃げ出す。 「逃しませんよ」 背後から、走ってくるブーツの音が聞こえる。 だがそんな事も全てどうでもよくなる程、今のジキルの脳内はそれどころでは無かった。 「希望って、何だよ……」 空の闇に、絞り出した言葉は吸い込まれて消え失せた。
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