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「私もそうだ、あの日の記憶が無かったかのように欠落している。過去の記述を見ても動力事故としか書かれていないし、知ってる人も少ない。でも今日、コハクの行動を見て確信したよ」
クツナの頭に突き刺さる指を思い出し、恐怖からか身震いする。
明らかにアレは、人間の所業ではない。
だが昨日も同じ人物で同じ光景を見たはずだった、最早その記憶すらも怪しいのだが。
そのコハクの行動が、どうやらハイドの中で確信を持たせてくれたようだ。
「確信?」
「コハクを始め、街の上層部は何かを隠してる」
難しい表情を浮かべたかと思えば、いきなり立ち上がり部屋のあらゆる机から色々取り出し始める。
突然の行動に一瞬呆気に取られるも、ふと我に返り声をかけた。
「何してんだよ!」
「今日ので決心がついた、私はこの街を出る」
「はぁ!?」
どうやら荷物をまとめているようで、必要な物不要な物瞬時に見分けて選別していた。
だがジキルは思考が追いつかず、上手くのみ込め無いままハイドを見つめる。
「昨日今日とで決めた話ではない、その為に壁で色々実験をしていたのだ」
昨日の実験を思い出し、ぼんやりとだが何が言いたいのかは理解した。
機械を使った、壁の向こうを目指した実験。
単なる好奇心だと思っていたのだが、事実はもっと現実的で無謀だった。
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