表と裏

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「これ、自信はあるけどまだ実用段階じゃ……」 「実用性はどうでもいい。私が見たいのは、その動力の浮遊力だ」 不敵な笑みを浮かべた師の姿と今の現状に、嫌でも言いたい事を察する。 壁の向こうを見るつもりだと。 取り囲む壁の出入り口は1つだけあるのだが、扉が開いた所は見たことがなければ誰もその扉の向こうを気にした事すら無いのだ。 知らなくても今の生活が幸せ、だがハイドの好奇心はそれを上回った様だ。 「師匠、こんな事に使う為にこのボード開発した訳では無いんだけど」 「こんな時だけ師匠呼びか?そうケチな事言うな、私の研究に役に立つのだぞ」 「機械(マシン)を実験に貸して、無事に返って来た事1度も無いから嫌なんだけど」 だが言った所で実験を辞めてくれる訳が無く、既にハイドはボードに乗る準備をしている。 「えっ!?ハイドが乗るの!?」 「……駄目だったか?」 「駄目っていうかこのボードまだ安定してないから落ちる可能性あるし、もう色々と諦めたから俺が乗る」 「私が怪我する事を心配してくれてるのか!!なんと優しき従弟!!」 いちいち付き合ってられないとハイドに反応する事を諦め、軽快にボードの上へと飛び乗った。
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