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「死んだ……?」
双眼鏡をしまって逃げ出したい気分だが、クツナがどうなったかも気になり目を離せずにいた。
クツナは完全に意識を失い、コハクに投げ捨てられても起き上がってくる素振りがない。
混乱の頭を必死に整理してる最中、突然コハクがこちらの方へと頭を向ける。
ヘルメットのせいで相手の顔を伺えないのに、視線が合った気がした。
思わず双眼鏡を落としてしまい、そのままバランスを崩してジキル自身も落下しそうになる。
寸前の所で何とか上体を起こして持ち直すも、焦る気持ちに呼応するかの如く心臓の鼓動が速くなっていた。
下にはハイドも待たせている、慌ててボードを下降させる。
案の定地上では結果を心待ちにしているハイドが待っていたが、必死の形相のジキルに顔色が少し変わる。
「どうかしたか?」
「どうかしたかじゃねぇよ!!説明してる場合じゃない、早く逃げよう!!」
いつもなら納得いくまで質問を繰り返すハイドだったが、ただならぬ雰囲気にそれ以上追求してくる事は無かった。
ボードを元の箱状まで収納し終わった頃には、慌ただしく走る足音が近くまで向かってきている。
「よし、じゃあここはお師匠様の出番だな」
何も知らないはずのハイドが不敵な笑みを浮かべながら機械を取り出す姿に、別の意味の不安が押し寄せた。
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