ドMの魔女はドSを隠して微笑む

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手足が長くて鼻が高くて 幼少期のあだ名は「外人」 体育座りをするのが嫌だった 自分だけ形が違う みんな顎の下に膝があるのに自分だけ顎の上に膝がある 気付かれたくなくて足を前に出し 膝の位置が顎下に来るようにした 首が長いと言われるのも嫌だった 「麒麟みたい」 顔が美しければ誉め言葉になる 自分は美しくないから悪口になる 疎外感しか感じない ふつうの姿に生まれたかった 指がきれいだねと言われてもうれしくなかった 声がかっこいいねと言われても評価は上がらない ふつうとちがう そう言われているように感じる 唇も薄い だからキスしたくないと言われた 目鼻立ちがきれいな女の子に まるでそれが悪いことであるかのように この姿特徴は悪であるかのように ふつうの姿に生まれたかった 中学である少年に恋をした 目が大きて吊目で耳も大きめで唇は厚く 明るい活発な子だった かっこいいと思っていたその子の あだ名は宇宙人だった 「外人」と「宇宙人」の奇跡の邂逅 恋の始まりを期待した 手を置かれたこと 肩に触れられたこと それらは必要に駆られてしただけ 意識などしていない そうわかっていても胸がときめいた こんなに近くにいたのに… 二人が手を繋ぐことはなかった
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