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「はあっ、はあっ、は、はーっ……どうしたんだよ、もう……」
三つ子はただ見つめてくる。というかなぜオレだけ息が切れてるの?すると三つ子の内の一人、リァハが口を開いた。
「いかないで」
「……え?」
「あそこは、だめ」
「あそこ?……教会のこと?」
リァハはそれだけ言うと黙り込んでしまった。とにかく行かないで、と目が訴えている気がする。いや、行くつもりもないけど……。
「安心してリァハ。オレはあそこには行かないよ。オレはアェルドに頼んだから」
そう言うと三人の表情が明るくなっていった。「ほんと?」「やった!」「やったね」と次々に喜んでくれている。なんか、嬉しいな。必要とされていると勘違いしそうになる。
「なんのお話ですか?」
声がするほうを見ると、いつの間に来ていたのかカテリーナがそこに立っていた。
「わ!?びっくりした」
「ああ、申し訳ないですわ。なにかお話をされていたので」
にしても、こんな真っ直ぐな廊下をいつの間に……。するとまた、カテリーナが視界に入ってきた。
「ジョシュア。よく聞いて。教会に居る方が貴方のためなの」
その真剣な顔に信じてしまいそうになる。でも。例えそれが正しくても。
「……オレは、ここにいるよ。カテリーナ」
そう言うと、カテリーナは少し寂しそうな顔をした。
「…そう。残念だわ。来てくれないのね」
最後、声が低くなったように感じた。と、その時。
窓が割れる音と共に、大柄のシスターが入ってくる。それに驚いていると、大きな布を被せられてそのままひょいっと持ち上げられた。
「行くぞカテリーナ」
「は……はい!」
シスターの声は男そのものだった。その変な男に抱えられたまま必死で暴れるが、布のせいで上手く抵抗できない。なんだ、なんなんだ。
「「「待って」」」
三人の声が聞こえた後、体がぐるりと回った。どうやら肩に担がれたらしい。
「調子乗んなクソガキが」
男のシスター(ややこしい)がそう言うと「わあ」という三人の声が聞こえる。
「三人とも!大丈夫か!!」
返事が聞こえない。なにか声は聞こえるから無事なようだ。
次は横に移動したのが分かる。外に出て走っている?……連れ去られた!!
「た、たすけ……」
でも。オレのせいでまた誰かが傷付いたら?
ジョシュアの頭の中に、ある男の姿が思い出される。
──逃げてくれ。
もうあんなのは……嫌だ。オレはそのまま目を瞑って、屋敷から離れるその風を感じていた。
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