【prologo】episodio.2「Occhi rosso vivo e capelli argentati(真っ赤な目と白銀の髪)」

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 パリン、と床に落ちたカップが割れた音が部屋に響いた。 「ジェシーが……誘拐された……?」  リァハ、ユゥア、シュアの三人は小さくなってそんな主、アェルドを見上げている。アェルドは力が抜けたようにソファへ座り込んで、見開いた目を小さく揺らしていた。 「……なにを……している!!」 怒鳴り声に三人はビクッと肩を震わせる。咄嗟にブルームがアェルドの腕を掴んだ。 「待てルチア!傍に居なかった私が悪い!責めるなら私を責めろ!」 「その場に居ておきながら、投げられた網に絡まっていただと……!?なんのために鍛えて──」 「彼女たちはまだ子供だ!!」 ブルームの声にはっと我に返り、アェルドは三人の方を振り返った。小さな身体を震わせて、申し訳なさそうにこちらを見ている。 そんな三人を見て冷静になったのか、アェルドは目元を抑えてから三人に歩み寄りその場に片膝を着いた。 「……すまない。リァハ、ユゥア、シュア。悪いのは私だ。油断してしまった。それなのに怒鳴ってしまって……本当にすまない」 「……いいの、わたしたちも、なにもできなくて」 「当然だ。そんな小さな体で、むしろよく無事で帰ってきてくれた。……怖かったね、ありがとう」 その三人を抱き締めて、アェルドは「無事でよかった」と頭を撫でる。ブルームは申し訳なさそうに眉を下げてそれを見ていた。 「……私のせいだ。カテリーナをもっと、警戒すべきだった……」 「……言っても仕方ない。向こうもプロだろう。とりあえず、取り返すことだけを考えよう」 アェルドは立ち上がると、そんなブルームの肩に手を置いて「気にするな」と優しく声をかける。ブルームは強く目を瞑って、「……すまない」とだけ答えた。  さて、とアェルドは外を眺める。 「まずは教会に行かねばな」
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