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ピチチ。チュンチュン。
そっと目を開けると、鳥のさえずりが聞こえてきた。大きく広いベッドの上で小さく身じろいで、窓に目を向ける。誰かが開けたであろうカーテンから、日差しが漏れている。こんな爽やかな朝は初めてだ。こんな落ち着いて寝れたのも……。
昨日のは夢じゃなかったらしい。心地よい眠気がまだ残ったまま上体を起こした。そしてゆっくりとベッドから降りると、部屋を出てみる。やはりかなり広い。自分は貴族など詳しくなどないが、おそらくかなり上層階級の人間なのだろう。でもやっぱり、人は全然居ない。人気ないのか?あいつ。
「わあ」
「わあ」
「わあ」
同じ声が聞こえて振り返ると、またまた同じ顔の自分より幼い少女が三人並んでいた。おそろいのケープを羽織って不思議そうにこちらを見ている。そして怖がりもせず少女たちは近寄ると二人が片手ずつを取り、一人は背中を押し始めた。
「こっち」
「あっち!」
「そっち」
今度は全く揃ってない言葉を口にして、だが同じ方向へとオレを連れていく。「わかった、わかったって」と言うがまた「こっち」「あっち!」「そっち」と言うだけで全く止まってくれない。はあ、とため息をついて連れて行かれるままある一室に入る。
そこには、使用人のブルームが居た。
「おはよう、ジョシュア」
さ、こっちへ。そう言うとブルームは真っ白な綺麗な布をばさっと広げた。ハサミを片手に、にっこりと微笑んで。
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