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名前:マサクニ
職業:勇者
レベル:1
パッシブスキル:女難、マタタビ(※有効対象:1)
というわけで、俺の冒険が始まったわけなんだが。
武器も何もない。どうやって戦えというのか。
モンスターがあちこちにいる草むらでひとり途方に暮れていると、にゃあ、と足元から声が聞こえた。見るとちいさな黒猫がいる。
「猫……? こんなところにいたら危ないぞ」
可愛いけれど、今は構っている場合ではない。
猫はにゃあんふにゃあんと鳴きながら、俺の足にすりすりと身体を擦りつけ――ぼわん、とその姿が煙に包まれる。
「え」
煙が晴れたとき、目の前にいたのは黒髪の女の子だった。猫耳と猫しっぽが生えている。可愛い。
なぜか非常に嬉しそうな、とろんとした表情を浮かべていたのが、ぴたりと固まり。
「あ、あ……」
顔を真っ赤にしてぶるぶる震えた後、
「ヘンターーーーイ!!」
俺を平手打ちした。なんでだ。
「この姿でいる間しか正気を保てないなんて……! なんなのよ、あんた!」
フシャー、と長い黒髪としっぽを逆立てながら詰られ、俺はどういうことだと思いながら張られた頬をさする。
「俺はなにもしていない」
「してるわよ! なにいい匂いさせてるのよ、バカ! 離れられないじゃない!」
「えー……」
身に覚えがない。と、俺は自分のスキル名を思い出した。マタタビ。
「パッシブスキルだからどうしようもない、諦めてくれ」
「なんですってー!?」
こうして黒猫少女、もとい魔女のヒイロが旅の仲間に加わったのだった。
続く……のか?
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