昼、商店街

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「ね、お兄さんはどうしてスープ屋さんやってるの?」  ミユキは空のマグカップを店員に差し出して、再びさっきの質問をする。  店員は少しだけ考えてから、にこりと笑った。 「ミユキちゃんの笑顔を見るためですよ」  その答えに、ミユキは目を丸くさせて、それから頬を赤らめた。 「ごまかしてるのバレバレなんだけど!」  その反応に店員は、はっはと大笑いする。 「まぁ、簡単な話ですよ。僕がはみ出し者になったときに、助けてくれた人がスープを振る舞ってくれたんです」 「助けてくれた人って、師匠?」 「そうです」  店員は胸を張る。誇らしげに。まるですぐ横に師匠とやらが立っているように。
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