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「後悔は、ないの?」
ミユキはふと、そんな事を聞いた。意図はわからない。ただ、気になったのかも知れない。それか、はみ出し者という言葉が引っかかっていたのかも知れない。
「はみ出し者になったってことは、はみ出し者じゃなかったってことじゃん」
「ミユキちゃんは頭が良いなぁ」
てきぱきと効率よく食器を片付けながら、店員は生返事。スープが底に溜まっていたマグカップもあっという間に綺麗になった。
「まあ、僕にも色々あったと言うことです」
「そういう言い方が一番ずるいよ」
ミユキが店員を見上げると、店員は複雑そうな表情で固まっていた。歯の奥に、苦い野菜が挟まったみたいな、渋い表情。
「後悔はありません。葛藤はありましたけれど」
「それは、つまり?」
「つまり――」
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