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すっかり洗い物はなくなって、綺麗に整頓されたカウンターに元通り。ミユキがのれんをくぐる前の状態にすっかりと戻っていた。
店員はなんと言おうか迷っているようだった。どの言葉が最適か――そう迷っているようにも見えた。
ミユキは小首を傾げた。後悔なんてないに決まっている。あんなにもスープを作るのに楽しそうだったから。何かに夢中になっている人間ほど輝いているものは、ない。
濡れた手をピンク色のハンカチで拭って、それから背筋を伸ばした。
店員は、真っ直ぐな眼差しで、ミユキを見つめた。
「この仕事に、つけて良かったって思っています。僕の作ったスープで喜んでくれる人がいるから」
「……現に、あたしはお兄さんのスープで元気貰ってるし」
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