昼、商店街

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「ミユキちゃん、学校はどうしたの」  暖簾の間から顔を覗かせたのは、色の白い、不健康そうな二十代後半の男性だった。シワ一つない白シャツに、笑顔のクマのアップリケの貼り付けたエプロンを着ている、なんとも憎めない服装だった。  女子高生、ミユキは勝手にたたまれていたパイプ椅子を引っ張ってきて、カウンターの前で座った。低めに設計されているカウンターは、ミユキが突っ伏すのに丁度良いサイズをしていた。 「今日はサボり! なんとなく行きたくなくなっちゃったの」 「制服着てるんだから、行けばのに」 「家出るまではね、行く気マンマンだったんだよ。今日の美術たのしみだなぁとか、友達と何話そうかなぁとか、考えてたんだど、なんか、行きたくなくなっちゃって」  ひたすらに行きたくない、と連呼するミユキにため息をついて、店員は水滴のついたマグカップを布巾で拭く作業に戻っていた。
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