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「自分のしたいことをするのはいけないこと?」
「したいことで周りに迷惑が掛からないならいいんじゃないですか?」
店員は深いため息をつく。その表情に、思いがけず、深い皺が刻まれた。歳によるものではない。あふれ出す疲労感から、店員を老いさせたのだ。過去に何かあったのだろうか。
「あたしにはよくわかんない。迷惑だと思うのはあたしじゃないもん」
カウンターに頬杖を着いて。店員の疲労感を感じたのか、感じていないのか、指の爪を気にしながらミユキは呟く。
「若いねぇ」
「お兄さんが、年取りすぎてるんだよ」
すっかり皺を引っ込めて、店員は感じの良い好青年に戻っていた。しみじみと呟く店員に、ミユキはにこにこしながら笑った。
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