昼、商店街

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 コツコツと機嫌悪くカウンターを指の先で叩くミユキ。  親に反抗するときの目と、同じものがあった。店員はふうとため息をついて、ぐるぐると鍋をかき回した。水と具材がとろりと混ぜ合わさって、玉ねぎとかぼちゃの隔たりがなくなってくる。 「へえ、本当に何にも悩んでいないんですね。ミユキちゃんは大人なんだ」 「……お兄さんだって悩みとか、ないでしょ」 「ありますよ。毎日尽きないくらいには」  ぐるぐると木製のおたまで鍋をかき混ぜると、ふわふわと暖かくて懐かしい臭いが漂ってくる。
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