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ギラギラと、この目には復讐の炎が燃えているのではないかと思う。
それだけのために、ここまで生きてきたとも言えるのだから。
そんな思いを抱きながら、この塔の入り口で最上階を見上げていると。
「あ、新入生かな?もしかして道に迷った?案内するよ!」
「は?いや、結構です。」
思わず素が飛び出して、言い改める。
けれど、目の前の桃色の髪色をした女はさして気にした様子を見せずあたしの手を取って引っ張っていくのだ。
「え、ちょっと、大丈夫ですから、」
「遠慮しないで。ここ広いもんね。迷っても仕方ないよ。」
勝手に話を進めるな。
いつ誰が肯定したんだ。
お前の耳は飾りか。
人が折角穏便に振る舞ってやっているというのに。
離せ、と。
腕を振り解こうとした矢先、向こうからこちらの方へと二人の男がやって来た。
「ユリじゃん。なーにしてんの?」
「あ、もしかして。新入生ひっ捕まえて、カツアゲとか?うわー、怖すぎるわー。」
空色の頭をした男が彼女の名前を呼んで。
藍色の頭をした男が八重歯を見せながら、ケラケラと笑っている。
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