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「怖がらせる事言わないでよ。大体カツアゲなんてしないし。」
彼女は引いていたあたしの手を離して、藍色の男に思い切り飛び蹴りを見舞わそうと飛んだ。
けれど、彼は寸前で横に逃げて。
「あっぶなー。何すんだよ。これだから脳筋はすぐ暴力振るおうとすんだからよー。」
「こんなのが暴力に入る訳ないじゃん。ライラックがそんなひ弱なんて知らなかったー。」
ワイワイと、そうして二人で騒ぎ出した。
ほんの数秒前までは静かだったのが、嘘のようだ。
けれど、お陰で解放された。
この隙に逃げてしまおうかとも思ったけれども、空色の頭をした男がいたんだった。
あたしが彼に視線を向けると、彼はあーあと呆れたように言葉を溢していて。
そうして、あたしの視線に気付いたのかあたしの方へと近づいて来た。
「巻き込んで悪いね。ほっとけば良いから。」
「はぁ、そうですか。」
元からそうするつもりだ。
あたしは適当にそう返事を返して、じゃあこれで、と口にしようとした時。
「そんじゃ、行こうか。」
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