8人が本棚に入れています
本棚に追加
はい?
何当然のように一緒に行く事になってんの?
本当であれば、断っていた所だが。
元々あたしが行こうとしていた道へと進んでいく姿を見て口を噤む。
それにあたしはさっさとこの場を離れたかったから、仕方なしに足を動かした。
歩き進めるにつれ、後方の喧騒が遠のいていく。
「黒色の髪に黒色の瞳。すごい精神してんのな。」
あたしに視線をくれずに前を見ながら彼はそう口にした。
あたしはその発言を思わず鼻で笑ってしまう。
「問題でもありますか?」
「まぁ、ねえな。」
黒色は忌避される色。
何故ならば、それは'あたし'の色だから。
災禍と呼ばれる大魔法使い。
ビーシュ・イルマカトル・ヴァルディン、のね。
だから、黒色を持って生まれてくる子どもは色を変える。
赤色であったり、青色であったり、各々が好む色へと。
そうした、その中で最も好まれる色はあたしを地に落としたあの女の色なのだが。
まぁ、そんなものはどうだって良い。
元々、迷信などは信じない。
黒色が忌避されようと知ったことではない。
そして、そういった潮流の中。
他の人間の中にも稀に気にしない者もいるらしい。
そういった者は、黒色のままにするという話だ。
だが、稀には変わりない訳で。
この男が不可思議に思っても無理はないのだ。
最初のコメントを投稿しよう!