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言葉を交わしたのはそれだけだった。
割と本当に、何故彼とここまで来たのか理解出来ない。
「ここ。まっすぐ行けばいいから。」
そう礼拝堂を指し示して、彼はこの場から立ち去った。
それも、やって来た方向へ。
何なんだか。
あたしは首を傾げつつその後ろ姿を目にして、まぁいいやと向き直る。
どうせ、今後また関わる事はないだろうし。
そう思って、あたしは礼拝堂の中へと入る。
ずらりと椅子が並び、空いている席へとあたしは腰掛ける。
けれども、この色のせいかやはり好奇の視線に晒されて少し気に触る。
多様性の尊重はどうしたんだよ。
そう内心毒づきつつ、あたしは小さく舌打ちをした。
そうこうしているうちに、寮分けが始まった。
あたしは、第一寮らしい。
この寮分けは、初学期は無造作だが、次学期からは成績によって変わっていくという話だ。
それは寮だけでなく、授業もそのようで。
けれどまぁ、あたしには何の関係もない。
今更、あたしが何を学ぶという。
そう思って、皆が終わるのを待っていれば。
「ねぇ。名前教えてよ。」
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