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さて、と。
ようやくこれで面倒な会合は終わった。
あたしはぞろぞろとこの礼拝堂から出て行く人集りを悠々と腰掛けながら目にする。
あたしもそろそろ行かなければ。
わざわざ招待されたんだから。
行かないのは礼儀に反する。
小さく笑みを浮かべていると、金髪の男があたしの視界に入る。
その男はあたしに視線を向けていた。
あたしは舌打ちをして、魔法を使う。
広がる景色は礼拝堂から一瞬で校内の庭園へ。
全く、余計な労力を使わせられた。
仕方なしにあたしはここから第三講義室へと向かおうと思ったのだが。
「すごいね。そんな簡単に魔法使って。」
背後から聞こえた声に、溜め息を吐かざるをえない。
ノンストップでこうやって追いかけてくるとは甘く見ていた。
「しつこい。」
あたしは苛立ちを隠さないまま、振り向いて金髪の男に言い捨てた。
「名前くらい教えてよ。」
さっきから本当そればかりだ。
一体、それを知って何になるという。
そう思っていると、男は気がついたように続けて口にする。
「あ、俺?俺はギアルギーナ。ギルでいいよ。」
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