第1小節:はじまりのうた

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「ねぇ、この間のrainの新曲聴いた?」 「聴いた!やばいよね!あれ!」 「またあれだよ!作詞作曲は二宮 翔!」 「どのジャンルに楽曲提供しててやばくね!?」 翔「……」 12月の夜に、東京の街を歩く翔の耳にふと入ってきた会話。 翔は無意識のうちに、水色のヘッドホンを耳にした。 ヘッドホンから流れてくるのは ただのラジオだった。 「どんだけ曲作れんの! まじカッコよすぎじゃない!?」 「複数人で1つの名前使ってるだけっぽいよ!」 「えっ!まじ!!?」 「だって、こんだけ曲作って ほとんど大ヒットで顔出してこないっておかしくない!?」 「あー、確かに。」 翔「……」 ヘッドホンから流しているラジオを遮るトーンで前を歩く女子高生の会話。 翔は歩くスピードを緩め、ヘッドホンの音量を上げた。 そうでもしないと… 自分が作った曲が流れるんじゃないかって思ったから。 翔「………あっ。」 翔はふと視線を上へと向けた。 翔「……雪。」 翔はその雪を数秒見上げ、しばらくそのまま動かなかった。 すると、そこへ…… 夕紀「なーにやってんの?」 バシッ! 翔「いってぇ! ……何だよ、夕紀?」 後ろから、柏葉 夕紀(カシワバ ユキ)に頭を叩かれた。それと同時にヘッドホンを外す翔。 夕紀「なにって、上見てぼーっとしてる人いるなーって思ったら まさか翔だったからさ。笑」 翔「だからって叩く?」 夕紀「ごめんごめん。笑 それよりも、おでん買ったんだ。 早く帰ろ?」 翔「ああ。分かった。」
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