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庭掃除が一段落し、リビングで休んでいた時、勝手口で話し声がする。誰だろうと挨拶がてら顔を出した。
「あぁ久美、覚えてる?雅人君」
母が私に気付いて聞いてきた。
私と同じ位の年だろう男性は少し気まずそうに挨拶をしてくれた。
「お久しぶりです。覚えてますか?」
「ん~、お名字は?」
「尾上雅人です」
私は小学校5年の時に転校をして行った同級生だと思い出した。ただ、その転校は余りにも悲しい記憶だったので、再会の喜びの笑顔は出す事が出来ない。
「あ~、久しぶりです。お元気でした?」
「はい、おばさまに良くして頂いて、今は元気に頑張ってます」雅人は丁寧な落ち着いた話し方で返事をしてくれた。
「じゃっ!僕はこれで。ありがとうございました」
「いつも有り難うね雅人君」
雅人君は振り返り、深々と母に頭を下げ、次に私に会釈をし帰って行った。
「ねぇお母さん、あれコンビニの制服だよね。配達してくれてるの?」
「そうよ、いつも配達してもらってるの」
「ふ~ん」そんなんだったら、お礼のひとつもしておいたのに…。
私は掃除を終わらせ年末に来ると言って帰路についた。
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