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12月30日
回りに建物も殆どない道は風がまともに当たる。家が見えて来た。
「あ~やっぱ田舎は寒い!また銀杏の葉っぱ寂しくなってんじゃん!掃かなきゃ」
誰も通ってない道をぶつぶつ言いながら歩き家に着いた。
「ただいまぁ~あれっ?お母さ~ん!」
いないのかなぁ~?
ザッ、ザッ…
裏庭から音がした。なんだ裏庭掃いてるんだ。
「おかあさ…」
「あっ!久美さん、お帰りなさい!」
「雅人くん?」
「おばさん買い物に行ってます」
くしゃっと一人懐っこい笑顔を向けて。穏やかな話し方。
「そうなんだ、雅人君掃いてくれてるの?」
「はい、たまにやらさせていただいてます」
「いただいてますって…ごめんね、お母さん頼んじゃってるんじゃ?」
「いえ、たまにご飯ご馳走になったり。僕も助かってるんで」
そうなんだ…。
雅人君の顔は私が少し見上げる高さにあった。涼しげな目元、鼻筋もスマートで…イケメンなのかな?でも話すと柔らかな話し方で笑うと片エクボが出来る。それだけは小さい時と同じで親しみやすい。
「久美さん、気にせず休んでいて下さい」
「うん、ありがとう」
私はお言葉に甘えて家に入った。私が入ると同時位にお母さんが帰って来た。
「あら、やっぱり間に合わなかった?今お昼作るね。」
「うん、でも雅人くんがいるよ?」
「あぁ、久美がよかったら一緒に食べる?」
「別にいいけど…」
私は小学校の時を思い出していた。
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