世界の始まりの日、ver俺

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世界の始まりの日、ver俺

 暗黒画面のスマートフォンが、机から落ちる。  コマ割りの映フィルムに張り付くスマートフォンは、遅々たる動きで落ちていく。  横回転しながら、コマが変わるたびに画面の色が移り変わる。  黒、青、白、緑、黄、赤……。  その色がぼやけるころに、寝室の床にスマートフォンの角が当たった。それと同時に時計の針が六に二つ重なって、けたたましい鐘の音が室内に響き渡る。 「はッ……!」  飛び起き、布団を剥がして長座体前屈の姿勢で固まる。  情報の整理。 「今日で四月も終わりか……中間レポートの季節が来る」  朝の準備を一通り終えたは、ちゃぶ台の上にぶちまけたレジュメとノートと文献数冊とノートパソコンを片しながら、朝から憂鬱になる。  コーヒーはこぼすのが怖くて飲めなかったから、どっか、と座って白湯を呑む。 「いい湯加減で」  昨日はあわや遅刻しそうな時間に起きてしまったから、今日は三十分早く起きた。ニュース番組のオッサンが、リモコンにある指を立てたみたいなマークのボタンを押して参加するタイプのクイズコーナーで必死にボケている。スタジオは寒そうだ。オッサンのいたたまれない表情がちょっと可愛い。 「さて、今日も先輩に会いに行こう」  俺は支度を済ませて、アパートを出る。 ――今日はの日だ。
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