『死霊のはらわた』の系譜

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『死霊のはらわた』の系譜

ということで映画エッセイ流れ第1弾は「死霊のはらわた」です。 なんでいきなりこれなん、というと特に理由はない。 なんとなく最近どっかで、「サム・ライミといえば最近ははらわたじゃなくてスパイダーマンなのが解せぬ」とコメしたからだと思う。実際のサム・ライミは死霊のはらわたを作るために大学を中退した。パンクな野郎だ。 アメリカで80年代でスプラッタが流行った。これを後押しした作品の1つが「死霊のはらわた」といわれている。なお、原題は『The Evil Dead』で、悪い死霊とかそういう意味だ。邦題がなかなか良い。 ―まず簡単にあらすじ紹介。 アッシュたち5人はバカンスに行った山荘の地下で『死者の書』と録音テープを見つける。思わず再生するとそれは死者の書から悪霊をよみがえらせる呪文で、そこからスプラッタ展開。 自分がこの映画が好きなのは葛藤はたいして描かれないのに葛藤の要素に溢れているところなんだけど、その辺はネタバレになるので末尾に譲る。 基本的にこの作品はホラーを基調に作られていて、その中で笑いが挟まれている。サム・ライミの作品はそんなに吹き出ないだろっていうレベルで血が出たりとか若干演出オーバー気味ではあるのだけれども、笑い倒すシーンとか白濁液に溢れるとか全体的に非日常感の演出が過剰だ。日常ではないので安心してくださいというメッセージのようにも思えるかな。 その配分が恐怖を超えると笑いに転嫁するのではないかなと最近思っている。自分の感触だが、非日常感を感じるほど笑いに落ちるハードルがさがる。だからサム・ライミは必ずしも恐怖だけを感じて欲しかったのではないと思う。 ーーーーーーーーー以下ネタバレ部分 この映画はなにが面白いかというとそのギミック。 まずは呪いの呪文。これを自分で唱えない。テープレコーダーをinにすると、「これから呪いの呪文を唱えるから嫌なら止めろ」という声が入っている。酷い罠だ。若者だから当然止めない。止められるわけがない。それによって呪いが発動する。 ここの何が面白いかというと、この不可避のまきこまれの演出方法だな。最終的には若者たちは中身がわからないまま「スイッチを入れる」そして中身が分かったまま「スイッチを止めない」という不作為。これ、心理描写にするとたまらない。だからそのうち何かで書こうメモメモ。 それから呪いによって家族や友人が変質して襲ってくる。これに対して主人公は呪われてるってだけで殺していいのかと少しだけ葛藤する。この小さな要素をおきつつ基本はスプラッタに振る。あくまで主人公を殺しにかかるのは周囲で煽り騒ぎ倒す死霊ではなく呪われた『家族・友人・恋人』。この設定はそそる。 ーーーーーーーーー以上ネタバレ終了
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