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『ピピピピピピピ!!!!』
毎朝部屋中に鳴り響く音が、今日は一段と大きく聞こえていた。
「おはよー。里帆、いよいよ今日だね」
既に身支度を終えていた男性は、寝起き姿のままリビングに現れた女性に声を掛ける。
「うん。やれるだけのことはやったから、もう当たって砕けろ精神で楽しんでくるよ!なんか緊張してたのか変な夢も見たし……」
男性はコーヒーをソファへ腰掛ける女性の目の前に置くと「夢?」と訊ねた。
「あれ、でもどんな夢だったっけ?」
白い湯気に息を吹きかけながら女性は考える。
「自分から言ってきたのに、なんだよそれ」
はははっと笑う男性につられ、女性も笑みを浮かべる。
「ふふっ。まあ今日見た夢の話はいいや。今日の私は夢を叶えるために戦ってくるんだから!誰かも言ってたでしょう?夢は見るものじゃない叶えるものだ、って」
「次のクライアントは中田明彦、56歳。最近高校3年生になった娘との関係に悩んでいます。はい、5秒後に飛んで来まーす」
「5、4、3、2、1」
***夢に生きる***
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