用語録

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用語録

バルハラ 古くは勇敢なるキョウダイのみぞ選ばれる、死後に招かれる真の戦士だけの新世界とされている。そのため、スクラッパーズは強さを知らしめ、手柄をあげるためならば、名高い冒険者を好んで襲い、過酷な戦いならばこそ、武勲を得ることを本懐とする。しかし、スクラッパーズはそれぞれが、思いおもいのバルハラの夢を見るが、本当に見たことのあるキョウダイはダレもいない。スキンヘッズの数だけバルハラはイロイロな形をしているのだ。冒険者たちが思うに多分、本当に実在するならば、そこはすでにスキンヘッズだけで一杯だ。スクラッパーズの他のアウトフィールドのサバイバーたちにとっても、もしかしたら、あまり立ち入りたくはない光景になっているかもしれない。 原初のキョウダイ スキンヘッドがスクラッパーズのシンボルになったのは、旧戦後の汚染原因による皮膚病のため、頭髪が生えていなかったオトウトを不憫に思い、みずからも頭髪を刈りこんだアニキがいた美談に由来している。以降、スクラッパーズにはキョウダイの絆と覚悟の象徴として、スキンヘッドの慣習が儀式的にねづいている。それは、あるいは、かつてはサムライとされた種族のマゲに近しい意味を含む、いわば、スキンヘッドとはスクラッパーズの魂の宿る神聖な場所である。ただ、光沢を放つほどのスキンヘッドを保つには意外とお手入れが大変そう。 ドライジャーキー スクラッパーズの保存食として欠かせないお肉の燻製。キツめに塩漬けにされているのでそもそもの風味は謎。だが、スクラッパーズは思う。禁忌なの、卑劣なの、冒涜的なの、シチズンはあたかも常識的なマウントポジションからスクラッパーズの食卓をゲテモノとして語りがちだが、好まざるを得ず、本当に生きるためには、そうしなければならなかった立場の者には無礼な野次のオンパレードである。スクラッパーズにとっての素朴な疑問は、シチズンにとっては常識を守るためならば捨てられるほどに、生きるとはちっぽけなモノなのか。そして、シチズンが知っているのは、もしも、生きて囚われてしまったら、スクラッパーズのゲップの回数が何度か増えるに違いないということである。 ハイトランス コロニーで使われている医薬品としてはモルヒネに類似する作用があるのか。スクラッパーズの好むいかにも体に悪そうな怪しげな炭酸水は口内にスプレーすると、痛覚を忘れたアドレナリンラッシュに陥る。もしかしたら、ドーピングしているのかもしれないが、確かなのは戦いとはスポーツではないのだ。ましてや、バルハラ行きを賭けた戦いともなれば、怪しげな方法すらも惜しめないのかもしれない。この、スプレーを使うほどに、スクラッパーズはただでさえの短命をすり減らしているに違いない。ならば、人類が滅びるまえに、スクラッパーズはいなくなるかもしれない。 now loading...
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