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私は冒険者のシーカーだ。旧戦の後に病んで生まれた第三世代である。寿命はさほどに長くはない。三十年ほど生きるのならば恵まれている。だが、そうでなくとも、アウトフィールドでは朝をむかえられる保証はどこにもない。アウトフィールドとは、人々の生存エリアの外を意味する、いまや、世界のほとんどを占める危険エリアの通称だ。
それでも、ただ、理不尽ばかりのコロニーでの生活だけでは、私のような第三世代はいつとも知れない寿命をカウントしているに他ならない。ならばこそ、冒険者ならば、誰しもが噂するパイオニアの新天地をめざし、私はコロニーを旅立ち、アウトフィールドでの単独活動はひと月を数えた。
それは、見つけられないのか、実在すらしないのか、旅立った冒険者たちはいまだ、誰ひとりとして戻らない。あるいは、パイオニアの新天地が噂のとおり、旧戦の影響を免れたエリアなのならば、不作に嘆き、疫病まみれになりながら、モンスターの襲撃に怯えて生きるだけの、コロニーになんて戻りたいわけがないのかもしれない。
私にとってはいずれにしても、人生の終わりの旅路になるに違いない。私の世代の親しい者たちは末期発作に倒れるよりも、誰しもがパイオニアの新天地をめざし、このアウトフィールドに去ったのだ。見つけたところで、私たちの短命が報われるわけではないのだろうが、そう考えるならば、私の人生の終わりの旅路だとしても、覚えるのは親しみに近い。
砂嵐が発生すると、劣化金属を含んだ塵がサージを放ち、数日まえからはギルドとのコンタクトモジュールはダウンしている。最後の交信ではまもなく、私は未探査エリアに突入することになるそうだ。
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