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秘め事~プロローグ~
バチがあたったんだろうなぁ…
小さく呟くと
深く息を吐いた。
冷静に判断しようと思っても
色んなことについていけてない。
一番大事なことはそう
なぜ時計が止まっているのか。
ずーっと眺めている時計は
1秒すらもすすまない。
これはあたしがみている夢で
現実から離れたい気持ちが
都合のいい夢を見ているだけなのか。
夢ならしたいことは沢山ある。
子供がいるあたしには
24時間では足りなくて
もちろんおしゃれして買い物して
自分だけの時間が1時間すら
あるわけもなく気づけば朝を迎え
日々同じルーティーンを過ごす毎日。
あたしだけではないと
自分に励まし、嫌みを言われても
かわす能力まで身に付けつつある。
ほんとに辛いときは死ぬことは
考えることはなくても
このまま止まってしまえば
辛いことも嫌なことも考えずに済むと
現実逃避が当たり前になってきてた。
そのバチがあたったんなら
この機会もあながちご褒美だと
楽しみたい気持ちもあるが
時が止まれば何も出来ない。
出来ることは考えること。
そして息をすること。
目に写るのはただ真っ暗な世界。
目の前にはほのかに光る大きな時計があって
時計を眺めるしかない
あたしだけが存在してる。
叫んでも響くことなく
音が静止してしまう。
目を開けても閉じても眺めは変わらない。
あたしは真っ暗な世界のなかで
怖いという感情も少しずつ
慣れてきてこの世界で生きていて
今までの生活が夢であったのでは
と考えてしまうほどだ。
夢であったならもう少し
贅沢は出来なくても苦労の少ない
幸せな夢であれば良かったのにと
思ってしまうが
もう一度新しい世界が待っていて
自分に都合のいい日々なら
それも望んでみたいと思ってしまう。
だんだん今までの記憶も
薄れていく気がしながらも
考えることが楽しくなってきた。
そのとき秒針が動いた。
戻ることなく1秒だけ進んだ。
新しいこと考えたことが良かったのか
それとも今までのことが薄れて
記憶を消していくことが良かったのか
それからまた秒針が動くことがなくなった。
あたしのこの真っ暗な世界が
1秒分だけ動いた瞬間だった。
どんな世界だって変わってく。
きっと息をしながら考えることが
今のあたしが出来ること。
どんなときでも変化はおとずれて
真っ暗な世界でも考えることが出来れば
きっと先に進める。
新しいあたしはどんな姿なのかな。
そうしてまたあたしは目を閉じた。
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