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どうせ中途半端に期待させられて、がっかりするだけだ。
頭の中の冷静な部分がそう訴えてくるのに、歓喜に震える胸が抑えられない。
「あたしのリクエスト、何でもきいてくれるの?」
「俺にできるかぎりで」
「じゃぁ……、付き合ってよ」
「え?」
やや含みを持たせた言い方をしたら、大きく目を見開いた古澤柊斗が怯んだ────、ような気がした。
その反応に、あたしの胸がチクリと痛む。
本気で傷付くなんて、バカみたいだ。
リクエストがあれば何でもきいてくれる、なんて。古澤柊斗が深く考えずに口にしたに決まってる。
無神経な彼があたしにバレンタインデーのお返しをしようと思い付いてくれただけでも、今まででからは考えられないくらいの進歩なのに。
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