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「何勘違いしてんの?付き合って、っていうのはそういうのじゃないし」
平静な顔で、ツンとした声でそう言ったら、古澤柊斗が気まずそうに「あ、うん」と頷いた。
その表情にチクリと胸が痛むのを、鞄の紐を握りしめることでなんとか誤魔化す。
「何もくれなくていいから。土曜日が空いてるなら一日付き合ってよ。最近勉強ばっかりだし、映画でも見に行きたいと思ってたんだ」
「あぁ、そういう……」
ぼそりと呟いた古澤柊斗が、うつむいて前髪を触りながら顔を隠した。
手のひらの陰になって見えない古澤柊斗の顔に、今どんな表情が浮かんでいるのかわからない。
一日付き合って欲しいとか、ちょっと我儘だったかな。もしかして、迷惑だって思われて困らせてる……?
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