胸中

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そわそわ、ドキドキしながらため息を吐いた、そのとき。 「まおちゃん?」 近付いてきた古澤柊斗が、語尾上がりであたしを呼んだ。 「お、おはよう」 「おはよ。遅くなってごめんね、午前中部活あって……」 「そう、なんだ……」 考えてみると、古澤柊斗と私服で顔を合わすのは初めてだ。 学校や河原では普通に言葉を交わしているはずなのに、場所や服装がいつもと違うせいか、お互いに会話のテンポが悪い。 古澤柊斗と向かい合っているのに、彼のどこを見たらいいのかわからない。 その気まずさをどう対処するべきか困っていると、古澤柊斗が落ち着かない様子であたしのことをチラチラと見てきた。 「何?」 せっかく姉に可愛い服を借りてきたのに、緊張もあっていつもどおりの素っ気ない声が出てしまう。 「いや。まおちゃん、なんかいつもと感じが違うなーって」 小さく肩を竦めた古澤柊斗が、あたしのことを横目に見ながらぼそっとつぶやく。 あぁ。それで、さっきから態度が変なのか。
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