胸中

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「変?」 「そうじゃなくて、なんて言うか……」 直接的に聞いてみたら、古澤柊斗が言葉を濁す。 どうせ、姉からの借り物だしな。 幼い頃からの劣等感のせいか、姉が関わるときのあたしの思考回路はとことんマイナスになってしまう。 「似合わない?」 「だから、そうじゃなくてっ!」 苦笑いしてそう言ったら、それまでボソボソと口の中で喋っていた古澤柊斗が急に大きな声を出したから驚いた。 「そうじゃなくて……」 あたしが目を見開くと、古澤柊斗が耳朶を赤く染めて気まずげに声のトーンを落とす。 「可愛い、と思います」 躊躇い気味につぶやかれた古澤柊斗の言葉。あたしの脳がそれを処理するのに、少しだけ時間がかかる。 だけど彼の言葉の意味を理解した瞬間に、顔だけでなく、おだんごに結われて剥き出しになった首の後ろの皮膚までもが赤く火照っていくような気がした。 「あ、えっと。まおちゃん……」 無言で顔を赤くするあたしを見て、何故か古澤柊斗が焦ってあたふたとする。 鈍い古澤柊斗でも一瞬で気付くくらいに感情が前面に出ているのかと思ったら、恥ずかしくて居ても立ってもいられなかった。
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