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「え、あんたそんなに勉強熱心だったっけ?」
真面目にそう返したら、古澤柊斗が不貞腐れた顔をした。
「そういうわけじゃないけど……」
「あんたは部活頑張りたいんでしょ?まだ二年だし焦って予備校行かなくたっていいんじゃない?親に何か言われてるの?」
「そういうわけでもないけど……」
「勉強でちょっとわかんないとこがあるって程度なら、瑛大くんに教えてもらえばいいじゃん。そこらへんの家庭教師より教え方上手いんじゃない?あたしも中学生くらいまでは、テスト前はお姉ちゃんに────……」
そこまで話して、口を閉ざした。
別に大した話じゃない。中学生の頃は姉に勉強をみてもらっていたという、ただそれだけのことだ。
だけど、今も姉のことが好きかもしれない古澤柊斗に、彼女の話題を振りたくなかった。
「詩音さんが何?」
ほら、やっぱり。興味を持った。
不自然に話を辞めた私を見つめて、古澤柊斗が不思議そうに瞬きをする。
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