未来

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「いいよ。その代わり、俺のことフルネームじゃなくて名前だけで呼んで。さっきみたいに」 「名前だけ?柊斗、って?」 あたし、さっき古澤柊斗のこと名前だけで呼んだかな……? 曖昧な記憶を思い出しながら首を傾げていると、あたしの背中に手を回した古澤柊斗に強い力で抱き寄せられた。 後頭部に移動してきた大きな手のひらに引き寄せられて、古澤柊斗の唇があたしの唇に重なる。 そのまま彼が、何度も角度を変えて唇を重ねながら舌を絡み合わせてくるから、頭がくらくらして腰の力が抜けてしまった。 「しゅーと、もう、わかった……」 息を継ぐのに古澤柊斗の唇が離れたタイミングで、彼の胸を押しのける。 だけど、手のひらも身体も熱くなった彼は、あたしを離してくれなくて。「やだ」と、ただをこねるみたいに彼が漏らした言葉に、心臓がぎゅっとなった。 「まおちゃん、すき……」 古澤柊斗があたしを抱きしめて耳元で囁く。 あたしも彼の背中に手を回して抱きしめ返そうとしたとき、ノックとともに部屋のドアが開いた。
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