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「平気だよ。お姉ちゃんと瑛大くんだって、こっそりいろいろやってる」
「いや、兄貴のそういう事情をまおちゃんの口から知らされるのも複雑なんだけど」
あたしの肩口でため息を吐く古澤柊斗の髪を撫でながら、ふっと笑う。
「たしかに。それぞれのきょうだい同士で付き合ってるとか、どうなんだろうね」
「結婚しても家族の顔ぶれ変わんないよね」
古澤柊斗が笑いながらあたりまえのことみたいに口にした言葉に、心臓がドクンと跳ねた。
「け、結婚て。あたし達まだ高校生だよ」
動揺して肩をビクつかせると、古澤柊斗が不満そうに顔をあげる。
「そうだけど。俺はずっとまおちゃんと一緒にいたいと思ってんの。まおちゃんは違うの?」
古澤柊斗の黒の瞳にじっと見つめられて、胸が騒いだ。
あたしのこれまでの恋愛はちっとも長続きしなくて。あたし自身も、相手も、未来を考えて付き合ってきたことなんてなかった。
だけど、古澤柊斗は違うんだ。
あたしと離れる可能性があるなんて、初めから思ってもいない。
あたしとの未来だけをあたりまえみたいに自然と思い描きながら、そばにいてくれる。そう思ったら嬉しくて、愛おしくて、これ以上ないくらいに幸せな気持ちになった。
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