きみのもの《柊斗》

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◇ その日。地元の駅前で待っていると、予備校から帰ってきたまおちゃんが改札から出てきた。 「まおちゃん、おかえり」 駆け寄って手を繋いだら、俯いたまおちゃんの頭が小さく縦に揺れた。 「た、だいま」 最初に俺に告白してきたまおちゃんは「あたしのほうがお姉ちゃんより経験豊富だ」って啖呵を切ってきたくせに。 そばに寄ったり手を繋いだだけで恥ずかしそうにするまおちゃんは、可愛い。すごく可愛い。 経験豊富だって言ってたくせに、他の男の前でもこんなだったのかなって思ったら、過去に嫉妬するレベルだ。 まおちゃんは意地っ張りだから、思ってることと反対のことをよく言っちゃうけど。それが照れ隠しだって気付いたら、意地っ張りなとこだって可愛いから。 今日一緒に帰ってたあいつだって、まだまおちゃんのこと諦めてないかもしれない。 放課後にまおちゃんの隣を歩いていたそこそこイケメンを思い出して繋いだ手にギリギリと力を入れたところで、まおちゃんからのクレームが入った。 「手、痛い」 「あ、ごめん」 繋いだ手の力を緩めて腕を振ると、まおちゃんの鞄からジャラリと音がした。 見るとそこには俺があげた水族館のお土産のキーホルダーが付いている。
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