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「あ、付けてくれてる」
嬉しくなってへらりと笑うと、まおちゃんが照れ臭そうに視線を逸らした。
「せっかくもらったから」
「こんなふうにすぐに付けてくれるなら、もっとわかりやすいもの渡せばよかった」
「わかりやすいものって?」
カバンについたキーホルダーに触れながら呟くと、まおちゃんが俺の顔をじっと見て首を傾げる。
「もっと、まおちゃんは俺の、ってわかるやつ」
あいつが近付かないように。嫉妬交じりにボソッと呟いた声に反応したまおちゃんが、眉を寄せて顔を赤くした。
「何言ってんの」
まおちゃんが怒ったように俺を睨んでくるから、独占欲なんか出して嫌がられたのかと思ってしゅんとする。
下を向いて肩を落としていると、不意にまおちゃんが俺の両頬に手を添えた。
目を見開いて瞬きすると、爪先立ちになったまおちゃんが俺の顔をグイッと引き寄せて、柔らかな唇を押し付けてくる。
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