安藤カスミが殺し屋になった理由

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(全くウンザリだ) 復讐を果たしても、カスミは憂鬱だった。 この汚い部屋で、何度もクシャミをした。唾液を拭き取る作業が待っている。 カスミはトンビが刺繍されたハンカチで唾液を拭き取りながら、 「お父さん、お母さん、早くこの汚い部屋から出られますように」 と両親に甘える。 唾液を拭き取っても、時間稼ぎにしかならない。チャイニーズ・マフィアは、敵対する個人と組織を地の果てまで追う。 カスミもいずれ、チャイニーズ・マフィアと全面戦争になる。 カスミにとって、それは実に不愉快だ。 チャイニーズ・マフィアはヤクザやイタリアン・マフィアと違い、不衛生な連中の集まりだ。これから、衛生観念の無い連中と長く戦うことになる。 「お父さんとお母さんのために殺し屋になったんだから、アイツ等を清潔にさせてよ」 カスミは声を出して、両親にさらに甘えた。
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