安藤カスミが殺し屋になった理由

2/9
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「女性の殺し屋ならではの、苦労はありましたか?」 葛城が卑しい笑みを浮かべる。 「男子トイレに入れないこと」 カスミのそっけない返答に、葛城は大笑いしている。 「なるほど。私だって、女子トイレに侵入するのは苦労したものです」 葛城は、冗談を言っているのではない。 彼は元公安の刑事だ。表に出せない任務を遂行してきた。 「国家のため」という大義名分のもと、ときに残虐な行為も行った。 「仕事は、どうやって依頼を受けているのですか?」 「ブラックサイトを通じて」 葛城が、ウンウンと頷く。 世の暗部を見てきた人間ならではの共感。 ブラックサイトより葛城の方が、よほど真っ黒だが。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!