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「女性の殺し屋ならではの、苦労はありましたか?」
葛城が卑しい笑みを浮かべる。
「男子トイレに入れないこと」
カスミのそっけない返答に、葛城は大笑いしている。
「なるほど。私だって、女子トイレに侵入するのは苦労したものです」
葛城は、冗談を言っているのではない。
彼は元公安の刑事だ。表に出せない任務を遂行してきた。
「国家のため」という大義名分のもと、ときに残虐な行為も行った。
「仕事は、どうやって依頼を受けているのですか?」
「ブラックサイトを通じて」
葛城が、ウンウンと頷く。
世の暗部を見てきた人間ならではの共感。
ブラックサイトより葛城の方が、よほど真っ黒だが。
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