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カスミの沈黙に構わず、葛城はインタビューを続ける。
「裏稼業に就いていると、人間の汚い所を数多く見たでしょう?」
「汚いんじゃない。人間のサガだ」
この答えに葛城は、目を閉じて首を縦に振っている。
カスミも葛城も、陽の当たる場所で生きる人間では見られないモノを見た。
それらは全て、人間の本性に起因するのかもしれない。
(ま、お前が世の中で、最も汚いけどな)
カスミは心中で、葛城を皮肉ってやる。
「殺し屋だと、”親”の言うことは絶対でしょう?」
この場合の”親”は、暗殺依頼を取り仕切る胴元をさす。
「私はソロだ。”親”はいない」
(本当の親もいないけどな。なあ、葛城、何で私に親がいないと思う?)
カスミは心の中で、葛城に問う。
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