安藤カスミが殺し屋になった理由

4/9
前へ
/9ページ
次へ
カスミの沈黙に構わず、葛城はインタビューを続ける。 「裏稼業に就いていると、人間の汚い所を数多く見たでしょう?」 「汚いんじゃない。人間のサガだ」 この答えに葛城は、目を閉じて首を縦に振っている。 カスミも葛城も、陽の当たる場所で生きる人間では見られないモノを見た。 それらは全て、人間の本性に起因するのかもしれない。 (ま、お前が世の中で、最も汚いけどな) カスミは心中で、葛城を皮肉ってやる。 「殺し屋だと、”親”の言うことは絶対でしょう?」 この場合の”親”は、暗殺依頼を取り仕切る胴元をさす。 「私はソロだ。”親”はいない」 (本当の親もいないけどな。なあ、葛城、何で私に親がいないと思う?) カスミは心の中で、葛城に問う。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加